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[No15] 鋼の脆(もろ)さってなんですか?

色々な原因にて鋼の粘り強さが低下し、小さな力で折れたり、割れたりし易い事です。
これを脆性と言い折れたりする事を脆性破壊と言います。
鋼は通常、低炭素で軟らかいと延びやすい=延性材料、高炭素で硬いと脆い=脆性材料となり
ますが、より硬さ、強さ、粘りや耐熱、耐食性等を求めるためにレアメタルであるニッケルやモリブデン等を
添加した合金鋼である特殊鋼はどちらでもなく粘り強い=靭性材料でなければなりません。
その為に熱処理をする訳ですが、厄介な事に熱処理が原因で脆くなる事もあります。
おもな原因について紹介しておきます。(他にも色々あります。)

メッキ脆性
 皆さんよくご存知だと思いますが電気鍍金等の鍍金処理や酸洗いの工
 程で鋼の中に水素が入り脆くする事で水素脆性の1つです。対策はベーキング
 処理をおこなう事です。([No3]に記載済み)
  
水素脆性
 鋼に水素が入るのは鍍金の時だけではありません。特に注意が必要
 なのは、腐食です。結露等による水分が空気中の酸化物と化合して鋼を
 腐食します。この時に水素が入り脆化がおきます。遅れ破壊([No10]に
 記載済み)
の大きな原因になります。
  
焼戻し脆性
 焼入れにて硬く、脆くなった鋼を粘り強くする為の焼き戻し工程において、
 焼き戻し温度から徐冷するとかえって脆くなります。対策としては、焼き戻し
 温度から急冷(水冷)する事が効果的です。
  
低温脆性
 皆さんも寒くなると身体が硬くなってしまいますよね。鋼も同じで硬く、脆く
 なり -20 ~ -30℃で急激に脆くなってしまいます。SUS304に代表される
 オーステナイト系ステンレスは-196℃まではOKとされています。

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